はじめに 　一人一人の誕生、そしてすべての生命の誕生、というのは性的な機能と切っても切れない関係にあります。そうすると自分が今ここに存在する、そして今まで生きてきた、この存在のベースには性的な結合がある、とういことをまず認めなければなりません。すなわち、生命がこれほど神聖で重要なものであるのと同様に、誕生もひとつの神聖で重要なものであり、同様に性的な結合も神聖で重要なものなのです。そこで今まで習ってきた知識や、また鉱物、植物、動物、そして類人猿などの過程を経て蓄積してきた多くの経験と知識を基に、「人間の性という機能は真実神聖な奇跡である」ということを理解することができます。 　よくノーシス講座で「性の秘密（グラン・アルカーノ、偉大なる秘儀）は今でこそ公開されていますが、それ以前は秘密だったのはどうしてですか？」と質問されます。それがこのようになったのには幾つか理由があります。その第一は真実の叡智というものが人類に伝えられないようにそれを妨害する闇の力というものがあったからです。それ故に２０世紀に至るまで人類の大部分はほとんど無知な状態でこの性の機能に関する価値というものを知らずに過ごしてきたのです。そして第二の理由は、この現代に至って人類は自分自身の行動の責任を持つ、という準備ができているからです。たとえば私たち自身、私たちが住んでいるこの星の責任を持たなければなりませんし、自分の家族に対する責任も持たなければなりません。また同様に私たち自身の行動に責任を持つと共に、私たち自身の性的な結びつきの責任を持たなければなりません。なぜならば、この「性という機能は人間と神々の懸け橋となる機能」だからです。すなわち、もう私たち一人一人が自分の性的な行動の責任を負わなければならない時期にあるということです。 　しかしながら、この一つの性的な結合とそれに付随した誕生、およびそれらの回りの目に見えない次元で起こるすべてのことを知らずに、その価値を十分に理解するのは困難なことです。そこで今回はその理解を助けるために「誕生」に焦点を合わせて誕生前と妊娠中、そして誕生時にどのようなことが起こるかということを中心にお話して行きましょう。

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