モーゼの例
 さて、次にモーゼの例を見てみましょう。モーゼはエジプトの女王と、そしてヘブライ人の職人との間に生まれました。17才になった頃、大変美しいメリックという名の女性と出会いました。そして大変に相性の合うので結婚する約束をしました。しかし彼は、ラムセス二世によってその後を継ぐ大変強力な候補でしたから、隠れた敵の力によって砂漠に追放されました。砂漠にいる間にこの婚約者は亡くなりました。すなわち、結婚するには至りませんでした。そして彼女を大変愛していたモーゼは落胆しました。しかしアストラル界でモーゼの前にメリックが現れて、
 「何も心配はない。いつもあなたと一緒にいる」
 と言いました。
 事実、彼はこの全エジプトや、そしてヘブライ族の重要な問題を抱えて苦しんでいるときに、メリックのエネルギーの放射を感じました。彼の母親であるエジプトの女王ティメティスも奥儀に通じたイニシエートでしたが、モーゼに後にこのように言いました。
 「メリックは、あなたがこの多感な青春時代を純粋なままで過ごすことができるように、この世に肉体を持って生まれたのです」
 メリックはモーゼの双子霊ではありませんでした。大変上昇を遂げた相性の合う霊でした。彼女が肉体を持った唯一の理由、それはモーゼに愛のインスピレーションを湧き出させ、そして青春時代に性的な誘惑に落ちないように、それを唯一の目的として生まれたのです。
 このように皆さん自身、自分の両親、兄弟、そして周りの人々は皆さん自身のプログラムによる、それなりの理由があっての存在達なのです。
 そして『出エジプト記』にもあるように、砂漠に住む伯父のジェトロは多くの貧しい人々を受け入れ、助けていました。そのうちの一人に海賊達にさらわれて乱暴され、悪の神であるモロッチに捧げられた女性がいました。モロッチに捧げるために海に流されたのですが、生きて救われました。そして砂漠のモーゼに助けを求めて来たのです。名前を聞かれたときに、
 「私の名はエストレージャ(星(スター)という意味)ですが、これほどの人生の苦難を通った私は別人で、セフォラといいます」
 と答えました。
 ここに居てしばらく経つと、彼女は自分は妊娠していることに気が付き、自殺をしようと試みました。モーゼは超視覚を持っていたのでそれに気付き、彼女が自殺し、また胎児まで殺すのは放っておくことはできないので、彼女に結婚しようと言いました。
 この大変高貴な例に注目下さい。エジプトの女王ティメティスの息子であり、またヘブライ部族の族長であるこのモーゼが、一人の女性とそしてその子供の死から救うために彼女と結婚することを受け入れたのです。それが「献身の愛」「犠牲の愛」です。これは性的な情欲とは何の関係もありません。エゴとも関係がありません。
 こうして彼女もその申し出を受け入れ、生まれた男の子にエッセンという名をつけました。すなわちエッセンはモーゼの養子となりました。彼は人類に伝え続けるためにモーゼから受け継いだすべての叡智を受け取った人物です。なぜならば、モーゼはヘブライ民族にすべての叡智を伝えましたが、このヘブライ民族はその使命を全うしきれないことを知っていたからです。確かにユダヤ民族は選ばれ、そして人類に光を、叡智を伝達するはずの存在でした。そしてもう一つ、神の掟を人間に示すために選ばれた民でした。そして三番目に多神教として神があまりにも多くに分岐して分かれていたので、唯一の神にまとめるという仕事も与えられた民でした。しかしそれを全うしませんでした。だからこそモーゼはエッセンを準備し、叡智を伝えたのです。このエッセンからエッセネ派が成立しました。すなわち、アトランティスからノーシスという名で知られるようになるまでの間、叡智を伝え続けた人々です。

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