自殺者レオナルドの例
貧しい生活のレオナルド
 ブラジルで材木の切り出しをしていたレオナルドという男性のお話です。この彼の雇用主が大変残虐な人物で、カルローソという人でした。ですから材木を切り出しをしている人達にもやっと食べ物にありつくだけの給料しか払ってくれませんでした。それは第三世界といわれるラテンアメリカも含めてそういった国々でいまだに頻繁に起こっていることです。
 このレオナルドの奥さんが肺病でした。奥さんを病院に入院させたいと思いましたけれどもお金がありません。また子供が4人ありましたけれども、そのうちの一人が事故を起こしました。そこで雇用主のカルローソに借金を申し込みましたけれども、お金を貸してくれませんでした。

仕事を失ったレオナルド
 レオナルドは、この仕事でもう10年以上もそこで働いていました。そこでカルローソは、
「もし自発的にあなたが仕事をやめるのだったら、入院代くらいは払いますけれども、退職金とか今までの給料は払いません」と言いました。
 そこで必要に迫られて彼は自発的に仕事をやめて、そして奥さんの入院代をもらいました。しかし仕事は失いました。
 ラテンアメリカ諸国は工業が発達していません。ですから仕事を探すのは大変困難です。そうすると仕事もなく、お金もなく、そして病気の家族をかかえてレオナルドは酒浸りになりました。そして日に日に自分のこの悲劇の原因は、元の雇用主であるカルローソである、と彼に対する憎しみを増やしていきました。そして奥さんは終に亡くなり、子供達もおなかをすかしてあちこちで盗みを働いては暮らす、そして父親のレオナルドは一日中酒浸りの日々です。

殺人未遂で監獄に入れられたレオナルド
 そうして酔っ払った状態で彼はこの憎しみを感じてカルローソを殺そうと思いました。しかし酔っ払っていたのでそれを果すこともできずに捕まって監獄に入れられました。そこで監獄にいながらも毎日「あんなに残虐な心で強欲で人の害ばかりになっている男をどうしても殺さなければならない。どのようにすれば殺すことができるだろうか」と、このようなことばかり考えていました。

自殺をしたレオナルド
 しかしある日、監守が彼の部屋に来てみると、自分のズボンのベルトで首を吊って死んでいました。こうしてレオナルドの人生は終わりました。
 しかしここではもう皆さんご存知のように、肉体が終わってもまだ存在し続けているのです。レオナルドはどういうことになったのでしょうか。
 自殺をして首を吊って最期の息が出た途端、ちょうど電気ショックを受けたような大変なショックを感じ、そして大変な勢いで暗い洞窟の中の壁のあちこちにぶつかる感じを覚えました。そして壁にぶつかる度に大変太い針のようなもの、また鈎針のようなもので肉体がボロボロに裂けるような、そのような痛みを感じました。
 彼は、まだ生きていて酔っ払っているためにそんな感覚があるのだろう、と思いました。そして叫び声やまた唸り声、また吐き気を催すような臭いがしてきました。
 そして次には真っ暗闇で何も見えませんでしたけれども、どろどろの沼のような所に落とされたようでした。そしてそこでは動くこともできませんでしたけれども、沼の中から何か吸い付くものがあって、彼を吸い取っているような感じがありました。この泥沼のなかで大変長い時間を過ごさなければなりませんでした。ですから、いままで一度もどんなに酔っ払ったとしてもこんな事を感じた事はなかったのに、「こんな事は初めてだ」と思っていました。
 このように、多くの人は無知のまま死に、自分が死んだことさえも自覚できない状態にあるのです。

正気に戻ったレオナルド
 こうしてやっと少し一息つける状態になることができました。すると、大変静かな声が聞こえてきました。
「レオナルドさん、祈りなさい」という言葉です。
 そこで自分が小さい時、母親が「お祈りをしなさい」と言っていたことを思い出しました。そこで小さい頃に教えてもらったその祈りを今回は心からの祈りを捧げました。そうすると何本かの手が彼を泥沼から起こして、そして休養するために小屋に運ばれていきました。こうして徐々に回復していきました。
 そして少しずつ目を開けてみると、確かにここは小さな丸太小屋のような部屋でした。そして空気は新鮮な松の臭いがしてきました。ですから酔っ払っている自分をどこかの誰かが助けてくれたのか、と思いました。小鳥達の鳴き声が聞こえ、また花の臭いさえもしてきました。そこで、「あーよかった。もう二日酔いは治った」と思いました。
 そこで部屋に入ってきた人物がありました。その人が泥沼から彼を起こしてくれた人ですけれども、その顔を見ると何とそれはもう既に亡くなくなっていた彼の教父(ゴッド・ファーザー:洗礼をするときの付き添いになる肉体の父親とは別の名付け親)でした。
「あなたは、もう死んだ筈なのに!」とびっくりしました。
 すると、「そうです。あなたも死んでいるのです」と言われました。
 このようにして肉体がなくなると、もっと霊の感覚がはっきり起きてきます。そこで記憶がはっきりしてきました。
「そうです! 確かに自殺をした筈です」と言いました。
「じゃあ、私に起こったことは何だったのでしょう?」とその教父に聞きました。
 すなわち、自殺をするときに生じる成分、それは生命とは反対の破壊的な成分です。そうすると、そのときに生じた破壊的な成分、それは洗浄しなければならないのです。ですから泥沼にいたときに、それはこのような成分を栄養としている悪魔達が吸い取っていたのです。このような悪魔達は破壊的な成分で栄養をとるのです。ですから自殺のときに生じた成分を大体吸い取られた後に起き上がることができたのです。そして「祈りなさい」という声も聞こえました。

祈りのパワー
 祈りがいかに重要であるかに注目してください。大変な力をもつバイブレーションです。ですから先程、低次層にいるすべての人々のために一緒にバイブレーションを送るようにお願いしたのです。彼らのもとに届きます。そしてそのときに大変な安らぎを覚えます。そして愛を呼び起こされるでしょう。

すべてを理解したレオナルド
「じゃあ、どのくらいあの泥沼の中に私はいたのでしょう?」と教父に聞きました。
「12年位そこにいました。というのは、あなたの本来の寿命は52歳です。でも40歳で自殺をしてしまいました。ですから12年間、この死の破壊的な自殺の成分を洗浄していたのです。」
 自殺をする人は自殺でこの世の問題から逃げる事ができると思います。しかしその次の問題からは逃れるどころではなく、さらに多くの問題をつくってしまうのです。
 そこで彼はもう一つ教父に質問しました。
「じゃあ、私の人生はどうしてあのように苦しいものだったのでしょう?」
 そこで彼は次のような説明を受けました。
「あなたはこの人生の前の転生を覚えているでしょう。ポルトガルのリスボンであなたは大変な残虐な総督でした」
「ええ、それは確かに私でした」と思い出しました。
 しかし教父は「いや、それはあなただったのではなく、今回はあなたの雇用主だったカルローソさんがその残虐な総督だったのです」と言いました。
「しかし、その総督の下で働いていた将軍、モンターノ将軍、やはり大変残虐で人々から搾取し、苦しめていた将軍がいましたけれども、それがあなただったのです」と言われました。
「そしてこの将軍は4人の兵士を側にかかえて、いろいろな悪事を働くことに使っていましたけれども、この4人が現在のあなたの4人の息子達です」と言われました。
 そしてその時代にも同じ奥さんをもっていましたけれども、モンターノ将軍が残虐な行いをたじろいたりするときに、彼女がもっと豪華な宝石や洋服を欲しいために「どんどんやれ!」と応援した人物です。
「彼女が今回、肺病で亡くなったあなたの奥さんです」と言われました。
 そこで、「あっ! 今やっとすべて分かります」と言いました。

多くの国々で見られる自殺者たち
 ですから、自殺をするためにそれを正当化する理由は何一つとしてないのです。そしてこの人生を回避することはできないのです。なぜならば、この人生は私たち自身が犯してきた多くの間違いや汚れを洗浄するための期間だからです。ですから、自殺をするのは臆病だからです。すなわち、自分の責任を回避することになるからです。
 多くの国々でいろいろな理由でもって自殺をする人がいます。英国では多くの若者達が学校を卒業しても雇用がないし、また社会に希望を見出すことができずに自殺をします。そしてスカンジナビアの諸国ではフリー・セックスが行きつく所まで行き、また多くの何もすることのない老人達が自殺をしています。そして生きるために何の励ましのない、精神的な多くの原理というものを終えてしまった結果を見ることができます。
 この進化と退化の法則のバランスを大変破ってしまったのです。日本にも大変多くの自殺者がいます。自分で自殺をするときに、大変勇敢な行為だと思っている人もあります。そして自決という言葉があるように、侍の習慣が退廃して伝えられたものの一つです。その時代の良い精神も受け継がれましたけれども、このように退廃したものも受け継いできました。ですから、日本の自殺のケースを心理的な面から観察すると、この日本の自殺のケースの大部分は自尊心からによるものであるということに気付きます。

 以上の例からもお分かりのように、自殺はどのようなことがあっても避けなければならないことです。しかし、話が暗い悲しいもので終わらないために、今度は高次層のやはり実際にあったお話をしましょう。

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